ありのままということ

 尊厳、この言葉はセッションでもワークショップでもよく取り上げられるテーマです。クライアントさんとの対話の中では、その根底には必ず見え隠れします。そして同時に深く頭を悩ませるテーマのひとつでもあります。尊厳とは? 辞書ではこうあります。すべての個人が人間として有する人格を不可侵のものとし、これを相互に尊重する原理をいう。人間の尊厳、個人尊厳の原理、人格不可侵の原則。基本的人権と同義。どうやら原理のようです。

 私は星を読む事を仕事にしています。読めば読むほどに、そこには好ましい事だけでなく、普通は隠したい嫌いな部分や、歪みや偏りも示されているのがわかります。好ましい方はいいのですが、逆のところを伝えるのに四苦八苦します。でも必要な時は伝えなくてはなりません。

 今でもそうですが、この仕事をするにあたって尊厳という言葉がいつも脳裏をよぎります。浮かび上がった事を受けとめてもらえるだろうかと。この仕事を始めてしばらくは苦悶しましたが、今はそんなに苦労しなくなりました。尊厳の意味を自分なりに掴んだように思うからです。

 私は尊厳とは生命の根底に最初からそなわるもの…だと思っています。最初からそなわるものとは、何かを為す事ではなく、何かを努力する事でもなく、期待に応える事でもなく、息のしくみを知らずとも息ができることのような、少し騒げば消え入れそうだけれども確かに生命の底に在り、侵してはならない力強いものです。


 それは愛する人がただ安らぐ姿から、無邪気な子供の息づかいに見てとれるものです。だから月夜の静けさにも私たちは神聖さを感じるのかもしれません。生命がただそこに在るだけで認められ、共感され、とてもとてもとても大切にすべきもの。誰しもが守られ、生きる保証を得、そこに居られるようにとの願いに似ています。

 目の前のクライアントさんは気づいていないかもしれないけれど、深いところでは自分の持つ尊厳を取り戻したくてお越しになるのではないか、そこを忘れなければ受け入れる必要のある事を、今この時に受け入れてもらえるのではないか、そう信じています。何もしなくとも、何もできなくとも大丈夫。生まれた時の始めから持っているもの、ゼロではない確かな何か。だから好ましくない事であっても、ここを根底に敷いて情報を伝えたいと思います。

 尊厳を取り戻して欲しい、ゼロ地点、生まれた瞬間から持つ価値、だからバースチャートを読む事を仕事に選んだのかもしれません。

尊厳とは、そうあるだけで素晴らしい・・・ありのままの姿で愛し愛される普遍の約束だと・・思います。